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2024.11.13

自動車修理代と保険金のインボイス対応

 不運にも社用車を運転中に事故に遭い、破損した社用車を修理に出すこととなった場合、会社と修理業者、保険業者の3者間で修理代や保険金の支払いのやりとりが必要になります。保険会社から修理業者へ修理代として保険金が直接支払われる場合等に、会社がその修理代について消費税の仕入税額控除ができるのかどうかや、できるとしたらその金額、インボイスが必要かどうかという疑問が生じます。今回はそちらの内容について取り上げさせていただきます。

会社に保険金が入金される場合の仕入税額控除とインボイス対応

自動車等の保険金等は、事故の発生に伴い受けるため資産の譲渡等の対価には該当せず消費税の課税対象となりません。一方、保険金を修理代に充てた場合でも、その修理代は資産の譲渡等の対価であるため仕入税額控除の対象となります。そのため保険金が会社に入金される場合、入金された保険金は不課税で処理し、修理代については仕入税額控除の対象として課税仕入れとします。

例えば、社用車の事故に対する保険金55万円の支払いを受け、保険金を原資に社用車を55万円で修理したケースでは、修理代55万円に係る消費税5万円が仕入税額控除の対象となります。

保険金入金時に不課税の保険金収入を計上し、修理代の支払時に修繕費の課税仕入れを計上することとなります。

大手保険会社によれば「保険会社から会社に対して、保険金の支払案内通知を送付します。修理代に係るインボイスは修理業者から会社に交付されることが一般的と考えます」とのことです。つまり、保険会社から会社に届く通知はインボイスではなく、修理業者から修理代に係るインボイスを受領することで、仕入税額控除を適用できます。

 

会社に保険金が入金されず直接修理業者に支払いがある場合に注意

契約によっては、保険金が会社に入金されず、保険会社から修理業者に修理代として保険金の全額が直接支払われるケースがあります。基本的には、会社が保険金を受領し修理代を支払う際と実態は変わらないため、この場合も修理代は会社の仕入税額控除の対象になります。会社は保険金の入金、及び修理代の支払いがないため、保険金収入及び課税仕入れの計上漏れが生じないようご注意ください。

例えば、社用車の事故で保険金55万円が修理代として保険会社から直接修理業者に支払われる場合、修理代55万円に係る消費税5万円が会社の仕入税額控除の対象となります。修繕費(課税仕入れ)と保険金収入(不課税売上げ)を計上します。

このケースについて、大手保険会社は「保険会社から会社に加え、修理業者に対しても保険金の支払案内通知を送付します。修理代に係るインボイスは修理業者から会社に交付されることが一般的と考えます」とのことです。一般的には、保険会社から会社に届く同通知は、修理代に係るインボイスではないため、会社は修理業者から修理代に係るインボイスを受領することになります。

 

一部会社負担の免責額がある場合も修理代金が仕入税額控除の対象

契約によっては、会社が一部修理代を負担する免責金額が設定されており、免責金額を除いた金額が保険会社から修理業者に支払われることがあります。基本的には、会社は負担する免責金額にかかわらず、修理代の金額が仕入税額控除の対象になります。

例えば、社用車の事故に係る修理代55万円のうち会社負担の免責金額が10万円である場合、修理業者に会社が10万円を支払い、残額の45万円が保険会社から修理業者に直接支払われるケースでは、保険金収入は45万円だが修理代55万円に係る消費税5万円が仕入税額控除の対象となります。

大手保険会社によれば、この場合は「保険会社から保険金45万円の保険金支払案内通知を会社と修理業者に送付します。修理代に係るインボイスは修理業者から会社に交付されることが一般的と考えます」とのことです。一般的には、保険会社から会社に届く同通知は、修理代に係るインボイスではなく、修理業者から修理代に係るインボイスを受領することになります。

今回の内容は以上です。

社用車が破損するような事故にはできれば遭いたくないものです。しかし、あらかじめ事故に遭ったときの処理を知っておいていただければ、いざ事故に遭ったときに金銭的な損害を減らしたり、精神的な余裕を持つことができるかと思い取り上げさせていただきました。会計処理で迷うことがあればご相談ください。

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