2012.07.20
大不況が特別でなくなり、平易に利益を生むことが可能だった頃の前向きな気持ちをきれいさっぱり忘れてしまいそうな今、改めて、会計の本当の必要性が問われています。
あらゆるものが、完全に供給過多となった経済は、荒れ狂う大海です。その荒波を、自力で渡って行くことが困難で、溺れかけている中小企業を目の前に、何ら抜本的な改善策も提示できず、他人事、もしくは、励ますことが関の山であり、十年一日の如く、形式的な会計用語を並べ立てている、私たち多くの職業会計人。
会計事務所の誠の価値は、徴税目的以外に何があるのか・・・
会計は儲ける力のない中小企業にとっては無力なのか・・・
JAL会長、稲盛氏は、「経営者にとって“会計能力”を高めることは必須の課題であり、経営者の持つ会計能力の有無が経営力の差となり、企業力の格差をつくる」とまで言われています。まさしく、会計がわからんで経営ができるか!
経営者である以上、数字が苦手であるならば、今すぐ誰にも負けない努力をし、苦手意識を克服し、手を打たねばなりません。そして、理念を数値化し、会計を最大のコミュニケーションツールとする、次のステージに自身の会社を引き上げることが、早急の課題であることを自覚しなくてはなりません。
従業員の自主性を育み、一致団結して、イノベーションに取り組むことで、一人一人の生産性を向上することができたなら、企業の可能性は無尽蔵です。
今、私たち職業会計人に課せられた使命は、もともと利益を生み出す力を持った企業が操る、後追いの制度会計から、会計そのものが人間性を育み、生産性を向上させ、その必然として利益を産み出す、“幸福を創造する会計”にイノベーションすること。多くの中小企業と関わる、私たち職業会計人自身が、自らイノベーションし、社会から再び必要とされることこそ、疲弊した社会への最大のお役立ちとなることは言うまでもありません。
先日の勉強会で聞いた、二宮尊徳の考え方が頭をよぎりました。“無限の貧困、有限の実り”という妄想から、“有限の貧困、無限の実り”へ革新すること。人は困難にぶち当たると、問題は無限にあり、成果は限りがあると考えます。しかし、徹底的に突き詰めれば、あくまで問題点は有限であり、その問題を克服することにより得られる実りこそ無限大であるということ。一つ一つ試練を克服し、無限の実りを産みだす希望を胸に、幸福を創造する会計を育みたいと思います。