2012.02.01
景気低迷が当たり前となって久しく、モノの値段があってないような時代が続いています。だれもが1円でも安く購入することに情熱を燃やし、相手の利益を考えるものはいません。
同業他社を出し抜き、自分の生業になりさえすればいい・・・本来、競争相手の同業他社は、自社の成長を促してくれる貴重な存在であるはずです。しかし、そこには、発展に必要不可欠な正当な競争とは異質の、過当競争が繰り広げられています。
皆、私益を奪い合うことに喜びを見いだせず、閉塞感に喘いでいます。いつから相手の利益を考えないようになってしまったのでしょうか。当然ですが、経済は相互依存、市場の成長と適正な利潤なくして発展しません。
商売の原点に立ち返れば、仕事とは尽くすこと。小さなことにどれだけ真心を尽くせるか。その見返りとして感謝を頂く。自分も相手も第三者も皆幸せです。
今こそ、自己の利益のみを追い求めるのではなく、取引先に対しても、さらには第三者に対しても利益をもたらす、三方善の原点に立ち返るべきです。
先日ある勉強会で、推譲経済という言葉を初めて耳にしました。二宮尊徳の「至誠・勤労・分土・推譲」の根本思想に基づいた経済。
その言葉のもつ深遠なる思想を、現在の私の持つ稚拙な語彙では表現することはできません。しかし、推譲経済こそ、現在の経済的乱世を救う唯一無二のものではないか!
小脳に突き上げるような、人間を衝き動かす強いエネルギーを感じました。
直感ですが、一人一人の人間が、誠を尽くして真摯に働き、出ずるを制し、入るを図り、少しずつ周囲のために譲るだけで、世の中は変わるはずです。
積小為大、小さな三方善の積み重ねが山を動かす。推譲経済が万人の共通認識となることが、私の職業会計人としての使命のような気がしてなりません。新たな気付きを、気付きで終わらせず、共に実践することをここに誓います。