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2010.12.01

知覧の風

今年も残すところ1か月、年始と比べ、どれだけ成長できたか?自問自答を繰り返す季節となりました。

 先月、鹿児島の知覧という場所を訪れました。そこは今までの生涯で、最も心を揺さぶられた場所でした。 自分は生かされている・・・多くの先人たちの志に支えられている・・・ その日、生まれて初めて、祖先との繋がりを強烈に実感しました。

 

 知覧には、知覧特攻平和会館があります。特攻隊員として、国のために自らの命を捧げた、17歳から20代前半の若者439人の、崇高至純の精神を顕彰し、同時に世界平和を祈念するために建立されたものです。脈々と受け継がれた、国への愛、残された家族への愛、利他の精神。その精神の高さ、一途さは、眩いばかりの神々しさです。先人たちの未来に託した思いに、止めどなく、涙が溢れました。

 託されたのは、紛れもなく私たち・・・ そんな天からの祈りに、私は応えているだろうか。自分が今ぶち当たっている壁は、何と小さく、ばかばかしいものであろうか。自分の命と向き合うこととは、比較にさえなりません。しかも使命を全うする時間も与えられています。

 いざ天に旅立とうとしたその時、何を持っていけるだろうか・・・そう考えた時、すべての垢がそぎ落とされていきました。お金、名誉でもないことは明白です。

 

   人として正しいことをしてきたか・・・全力で誠実に生きてきたか・・・他人はごまかせても、自分自身はごまかすことはできません。

 

 小さな頃、よく両親から言われました。 お天道様が見ている。天に恥じない生き方をしてきたか ・・・その一言に尽きるのではないでしょうか。約一カ月経過した今尚、この原稿を書いているだけで涙があふれます。そんな先人に恥じない生き方をしようと心に誓いました。仔細なことで行き詰まることがあれば、再びこの地を訪れ、知覧の風に身をゆだねたいと思います。

 

「    あんまり緑が美しい 今日これから

      死にに行くこと事すら 忘れてしまいそうだ。

   真青な空 ぽかんと浮かぶ白い雲 

   六月の知覧は  もうセミの声がして  夏を思わせる

    作戦命令を待っている間に  」 

                                                   枝幹二大尉 22歳で散華 

                              参考: 新編 知覧特別攻撃隊 高岡修編

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