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就労継続支援B型事業所利用者工賃と消費税

2018年6月27日

大阪北区・税理士法人I doの沈です。

今回は就労継続支援B型事業所利用者工賃と消費税について説明をしたいと思います。

 

1.就労継続支援B型事業所とは

 就労継続支援B型事業所とは、障害者総合支援法に基づく就労継続支援のための施設です。

 具体的には、一般企業に雇用されることが困難である人等に対して、就労や生産活動の機会を提供し、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練などの障害福祉サービスを行うものとされています。また、就労継続支援B型事業所は、A型事業所とは異なり、利用者と雇用契約は結ばず、利用者に対して作業に応じた工賃を支払います(非雇用型)。

 

2.労働法上の利用者の労働者性の判断基準(参考)

  上記1.で述べた通り、就労継続支援B型事業所では利用者と雇用契約は結びませんが、利用者の作業実態から考えると、雇用契約を締結した場合との違いが明確でない場合が多いのが実情です。この点、厚生労働省は、就労継続支援B型事業所などの障害者向け「小規模作業所」等について、 通達で①「訓練等の計画」が作成されている場合と、②「訓練等の計画」が作成されていない場合とに分け、その労働者性の判断基準を下記のように示しています。

 

(1)訓練等の計画が策定されている場合

 小規模作業所等で訓練等の計画が作成されている場合において、次の①から④の要件を満たすときは、その作業に従事する障害者は、労働基準法上の労働者ではないものとして取り扱われます。

① 小規模作業所等において行われる作業が訓練等を目的とするものである旨が定款等の定めにおいて明らかであること

② ①の目的に沿った訓練等の計画(下記(2)の①から④の要素が含まれていないものに限ります)が策定されていること

③ 小規模作業所等において作業に従事する障害者又はその保護者との間の契約等において、これら訓練等に従事することの合意が明らかであること

④ 作業実態が訓練等の計画に沿ったものであること

 

(2)訓練等の計画が策定されていない場合

  小規模作業所等で訓練等の計画が策定されていない場合において、その作業所等で作業に従事する障害者については、次の①から④のいずれかに該当するか否かを、個別の事案ごとに作業実態を総合的に判断し、使用従属関係下にあると認められる場合には、労働基準法上の労働者であるものとして取り扱われます。

① 所定の作業時間内であっても受注量の増加等に応じて、能率を上げるため作業が強制されていること

② 作業時間の延長や、作業日以外の日における作業指示があること

③ 欠勤、遅刻・早退に対する工賃の減額制裁があること

④ 作業量の割当、作業時間の指定、作業の遂行に関する指導命令違反に対する工賃の減額や作業品割当の停止等の制裁があること

 

3.消費税法上の考え方

 消費税法上も、就労継続支援B型事業所の利用者工賃について明確にその取扱いを定めたものは残念ながら見当たりません。

  このため、利用者工賃についての消費税の取り扱いの判定にあたっては、消費税法基本通達における、「個人が雇用契約又はこれに準ずる契約に基づき他の者に従属し、かつ、当該他の者の計算により行われる事業に役務を提供する場合は、事業に該当しないのであるから留意する。」という規定にしたがって、 個別に判断することが必要になると考えられます。

 

 また、雇用契約に準じているかどうかが明らかでない場合には、同通達では下記の事項を総合的に勘案して判定するものとされています。

(1)その契約に係る役務の提供の内容が他人の代替を容れるかどうか。

(2)役務の提供にあたり事業者の指揮監督を受けるかどうか。

(3)まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失した場合等においても、その個人が権利として既に提供した役務に係る報酬の請求をなすことができるかどうか。

(4)役務の提供に係る材料又は用具等を供与されているかどうか。

  したがって、消費税法上の就労継続支援B型事業所の利用者工賃の取り扱いについては、上記2.の労働法上の考え方も踏まえつつ、契約内容や事業者による指揮監督の状況等を総合的に勘案したうえで、個別に判定することが必要になると考えられます。

 

 また、課税取引・対象外取引いずれの判断を行った場合であっても、その判断を行うに至った根拠となる資料をしっかりと残しておくことが、税務調査対策上は重要ではないかと思われます。

 

この記事について、または顧問契約・その他のご相談は、大阪北区の税理士法人I doまでご連絡ください!

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