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上場株式等譲渡損失繰越控除と国民健康保険料

2018年5月23日

税理士法人I do 沈です。

 

今回は上場株式等譲渡損失繰越控除と国民健康保険料についてご説明したいと思います。

 

1.特定口座内の上場株式等譲渡所得等の課税関係

  源泉徴収「あり」を選択した特定口座内の上場株式等の譲渡所得等については、所得税等の源泉徴収と同時に、5%の税率により「道府県民税株式譲渡所得割」が徴収され、特定口座を管理する証券会社がその徴収した金額を都道府県に納入することとされています。

 特定口座内の上場株式等の譲渡所得等の課税関係は、原則的にはこの時点で終了しますので、この所得について申告不要とすることができます。

 一方で、上記所得を確定申告して申告分離課税を選択すると、申告年度の上場株式等の譲渡所得・利子所得・配当所得との損益通算や、過年度の上場株式等の譲渡損失との繰越控除を適用することが可能です。

 

2.上場株式等譲渡損失の繰越控除適用と国民健康保険料への影響

 上記1.で述べた損益通算・繰越控除適用後の所得は、総所得金額等に含まれることとなります。 国民健康保険料は、主に個人住民税における損益通算・繰越控除後の所得金額をもとに決定されるため、上場株式等譲渡損失の繰越控除の適用を受けると、国民健康保険料の負担額に影響を及ぼす可能性が生じます。

 具体的には、前年の損失が今年の所得を下回る場合は、上場株式等譲渡所得を申告することで所得が増加するため、市町村の国民健康保険制度に加入している個人事業主等については、国民健康保険料額が増加する場合があります。

 

3.国民健康保険料額を増加させないための対応策

  上記2.で述べた個人事業主等の国民健康保険への影響を考慮すると、上場株式等の譲渡損失がある場合には、申告分離課税の選択により配当所得との損益通算・損失の繰越控除といった税務上のメリットだけでなく、個人住民税については申告不要制度を選択し、 その保険料を圧縮できないかを検討する必要があります。

 

  具体的には、①納税者の加入する国民健康保険の管轄市町村の保険料率を確認し、上場株式等譲渡損失を申告したことによる国民健康保険の負担の変動についてシミュレーションを行い、②その上で、住民税の確定申告を行うことによって国民健康保険料の負担が軽減できるようであれば、 住民税の確定申告を行う方向で検討します。

 

  この個人住民税の確定申告については、所得税の確定申告期限の3月15日までではなく、「個人住民税の納税通知書の送達日(おおむね5月下旬頃)」までに、各地方自治体に対し、個人住民税の申告書を提出することができます。ただし、自治体によっては、 申告書以外の書類の提出を求めているところがあったり、所得税と異なる課税方式を選択する旨を市県民税申告書の備考欄に記載することを要求していたりする場合がありますので、申告書の提出にあたっては、事前に市区町村に問い合わせて確認する必要があります。

このように、上場株式等譲渡損失の申告は、税務だけでなく社会保険料負担の観点からも、負担が増加しないように入念に検討する必要があります。

 

 

この記事について、または顧問契約・その他のご相談は、大阪北区の税理士法人I doまでご連絡ください!

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